裸足ラン、自然で快適 2012.3.16
3月16日付、日本経済新聞朝刊に「裸足ラン 自然で快適 前足部から着地 衝撃緩和、効率もアップ」との記事が掲載されていた。
ランニングやジョギングにおいて、着地は踵からというのが基本です。
トップランナーの多くは、着地時の衝撃が分散されると同時に、重心をスムーズに前方向に移動することができるとのことから、足裏全体で着地する「フラット走法」が主流のようです。
今回の記事では、前足部から着地する「裸足ラン」が紹介されています。靴を履いて走ると、踵着地になりやすく、ひざが伸びてしまう。地面を蹴るために足首とひざを使う必要があるため、時間と力の無駄が生じるが、裸足で走ると、前足部で着地し、ひざは曲がった状態なので(このとき体は前傾している)そのままふくらはぎのバネを推進力に変えることができるとのことである。
(以下、日本経済新聞から転載)
独特のサンダルを履いてメキシコ山中を駆けるタラウマラ族。その存在を世に知らしめたベストセラー『BORN TO RUN 走るために 生まれた』が2年前に翻訳出版されたことで、日本にも裸足(はだし)ランニングが広まってきた。前足部での着地を大きな特徴とし、効率的で安全な走り方と して注目される裸足ランのメリットとメカニズムを探ると――。
板の上に立つ。その板が突然、ガタンと傾く。すると人は転倒を防ぐために、とっさに体のバランスを取る。
結果は何となく想像できるだろう。裸足のときの方が反応速度が速かった。シューズ、特にソールの厚いシューズを履くと、どうしても足裏の感 覚が鈍る。足の裏が様々な情報をとらえてくれるのに、靴を履いていると、その情報が脳に伝わりにくい。吉野さんは「靴を履くとデメリットがあるのではない か」という考えに至った。
「シューズを履いていると、脚の使い方が間違っていても気づきにくいのではないか」「脚に本来備わっている機能を使いきるには、裸足の方がいいのではないか」「裸足の方が故障が少ないのではないか」
実験をきっかけに調べを深めるうちに、裸足ランニング(ベアフット・ランニング)の先駆者であるケン・ボブ・サクストンさんのウェブサイトに行き着いた。吉野さんはそこで裸足の効用を知り、自らもシューズを脱いで走るようになった。
裸足で走ると、踵(かかと)からの着地では痛くてたまらない。だから自然に母指球を中心とした前足部から着地するようになる。「裸足ラン=前足部着地(フォアフット着地)」といっていい。
逆にランニングシューズを履いていると、踵がソールのクッションで守られているため、踵着地に誘導されやすい。前足部及び中足部で着地するのが人間の本来の走り方であって、靴を履いたことで走り方が変化したといわれている。
前足部着地と踵着地。どちらによりメリットがあるのだろう。筑波大スポーツR&Dコアの吉岡利貢研究員が分かりやすく解説してくれる。
踵から着地すると、ひざが伸びた状態で足が地面に着く。そこから推進力を生み出すには、ひざをわざわざ折って、また伸ばして地面を蹴る必要がある。踵着地でブレーキが掛かり、再びアクセルを踏むサイクルに陥るわけだ。
一方、前足部で着地すると、ひざが曲がった状態で地面に着く。だから着地と同時に地面を蹴ることができる。前足部で地面を踏みつけることで、ふくらはぎの筋と腱(けん)が伸びる。そこにたまった力を、その後の収縮で推進力に変えるというメカニズムだ。
縄跳びの二重跳びの要領でジャンプを繰り返してみると、この筋と腱のバネの働きを自覚できる。吉岡さんによると「短い接地時間でより高く跳 べる選手の方が効率がいい。つまりマラソンを速く走れる」という実験結果が出ている。レース前にこの数値を測れば、その日の調子の良しあしが分かるとい う。
足裏でぱんと地面を踏みつけ、その反発力を生かすのが理想的な走り方ということになる。もう少し、詳しく説明すると、こうなる。
ひざや足首の関節ではなく、股関節を使って脚を振って地面に下ろす。すると前足部着地になる。股関節で走ると、大きな筋肉である臀(でん)筋、もも裏のハムストリングが使われるので、より大きな力が生まれる。意識をひざではなく、股関節に持っていくことがキーになる。
米ハーバード大のダニエル・リーバーマン博士(人類進化学)らが2年前に発表した論文によって、「裸足ラン=前足部着地」のもう一つの利点が明らかになった。
同博士らが着地の仕方によって、その衝撃がどう変わるのかを計測したところ、裸足で前足部着地した方が、靴を履いて踵着地したときより、衝撃が小さいという結果が出た(図参照)。
踵着地のグラフに表れている最初のとがった山が、前足部着地をすると解消できる。これによって衝撃は2分の1から3分の1にもなるという。 つまり、ひざや腰への衝撃が軽減されるため、故障が減ると予測される。前足部で着地した方が、効率よく速く走れて、しかも安全ということになる。
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